大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和32年(オ)1190号 判決

主文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理由

上告代理人秦重徳、同八島喜久夫の各上告理由は後記のとおりである。

上告代理人秦重徳の上告理由第二点について。

農地委員会が議決した農地買収計画は自作農創設特別措置法六条五項の規定による公告手続を経ないかぎり外部に対して効力を生ずるものではない。記録によると、上告人(控訴人)は本訴において被上告委員会(被控訴人)が昭和二六年六月一九日本件農地についてした原判示の農地買収計画の無効確認を求め、原審において、第一審でした自白を撤回し原判示農地買収計画については被上告委員会は公告をしなかつたとの主張をもなし、被上告委員会は右自白の撤回に異議を述べたのに対し、原判決は「買収計画の公告は買収計画の樹立とは別個の問題であるから判断しない」と判示したこと明らかである。してみれば原判決の右判示は同法の右規定の解釈を誤まつたものというのほかなく、論旨は理由があり、その余の上告理由ならびに上告代理人八島喜久夫の上告理由に対して判断するまでもなく原判決は破棄を免かれない。

よつて、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 垂水克己 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 石坂修一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例